研修会概要
<講師からのメッセージ>
災害や事故だけでなく、虐待やDV、いじめや性暴力などの「トラウマ(こころのケガ)」となるできごとは、頻繁に起きているにも関わらず、なかなか外から見えません。トラウマの「メガネ」を用いて理解するトラウマインフォームドケア(TIC)のアプローチは、日常の学級での支援や対応に役立ちます。安全や安心を感じられる学級づくりは、あらゆる子どもの成長や発達につながります。また、教員自身の落ち着きと自信を高めるものです。
このゼミでは、毎回、TICの基本をふりかえりながら、子どもや教員自身の事例(ケース)をとりあげて、具体的に「メガネ」を使う練習をしていきます。ケースの短い報告や話題提供を歓迎します。みなさんとの対話を楽しみにしています!
※このゼミでは、ケースに基づいた実践的な支援を学びます。そのため、子どもや学校にまつわる情報への守秘を約束いただくため、守秘義務誓約書の提出をお願いしています。(受領通知メールにご案内あり)
<担当講師>
野坂 祐子先生(大阪大学大学院人間科学研究科 教授)
▼講師プロフィール
お茶の水女子大学大学院博士課程修了。臨床心理士・公認心理師・博士(人間学)。大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンターを経て、2013年より現職。性暴力等のトラウマに関する研究と臨床が専門。教育現場や児童福祉分野で「被害-加害」への支援を行う。主な著書は、『トラウマインフォームドケア:“問題行動”を捉えなおす援助の視点』(日本評論社)、『マイステップ:性被害を受けた子どもと支援者のための心理教育』(誠信書房)他、著書論文多数。「子どもの性の健康研究会」ホームページにて、心理教育教材を公開中。http://csh-lab.com/
【主催】神奈川LD協会(公益社団法人神奈川学習障害教育研究協会)
▼ 開催方法
生ライブ配信(Zoomミーティング利用)によるオンライン研修
開催前日(概ね10:00~15:00の間)にZoomID等のご案内をメールにてお送りいたします。
▼ 申込期限
開催日2日前 午後3時
お申し込みは、下記「参加申込」ボタンからのオンラインフォーム限定となります。
開催日時&当日スケジュール
▼ 開催日時
第1回 2022年5月13日(金)19:00-21:00
■トラウマインフォームドケアって何?
トラウマインフォームドケア(TIC)は、これまでの教育や支援のアプローチと何が異なるのでしょう? 理解のための視点を共有し、インフォームド(理解する・前提とする)の考え方になじんでいきましょう。
■トラウマの「メガネ」で見てみよう①
TICによるアセスメントの基本を学びます。トラウマの影響は、症状として認識されるものだけでなく、「生き方のクセ」のように身についていることが多いため、外から見えにくく、わかりにくいものです。メガネで理解を深めていきます。
■トラウマの「メガネ」で見てみよう②
TICによるアセスメントの基本の続きです(この回からの参加も可能です)。落ち着きのなさや問題となる行動化で表されるトラウマの影響に対して、目立ちにくく、見過ごしやすいトラウマ反応に着目します。「おとなしい性格」だと思っていませんか?
第4回 2022年9月9日(金)19:00-21:00
■トラウマへの対処法を練習しよう
緊張や警戒心、集中力の低下といったトラウマの影響は、本人もコントロールしにくく、その結果、「どうしようもない」という無力感がますます強まってしまいがちです。自己コントロールを感じられるような対処法の練習について紹介します。
第5回 2022年10月14日(金)19:00-21:00
■学級・学校での安全感を高める
TICは、「環境療法」とも呼ばれるほど、生活場面の環境づくりや周囲の働きかけが大きく影響します。子どもの安全感を高めるための学級運営や授業の工夫について考えます。
第6回 2022年11月11日(金)19:00-21:00
■集団での取り組み
一人の子どもをトラウマのメガネで見て、個別支援を行うだけでなく、TICは集団に働きかけるのにも有用なアプローチです。グループや学級の活動でTICを取り入れる際の留意点について説明します。ぜひ、教室で取り組んでみてください。
■中長期的な支援につなげる
TICは支援の入り口を開くものです。「生き方のクセ」に気づき、より健康的な選択ができるようになるには、時間がかかります。申し送りや連続的な課題を設けながら、よりよい中長期的支援につなげていきましょう。
■支援者へのトラウマの影響
トラウマをかかえる子どもと接したり、関わりのなかで教員自身がトラウマを受けたりすると、教員も二次受傷を経験します。自分自身の状態に気づき、ケアをしていくためには、どうしたらいいでしょうか? 経験をふりかえり、安全策を考えます。
第9回 2023年2月10日(金)19:00-21:00
■学校での連携:仲間を増やそう
支援においては、チームでの協働や組織的なまとまりのある動きが欠かせませんが、とりわけトラウマに関するケース対応は、支援者や組織の安全を揺るがすものであるため、連携は「命綱」です! 連携の工夫を分かち合いましょう。
■TICで成長した自分に気づこう
TICは、子どもや家族の回復だけでなく、支援者のレジリエンス(回復力)も高め、援助への自信やウェルビーイングを高めることが知られています。1年をふりかえって、お互いの変化や成長をメガネで見てみましょう!
時間 | 内容 |
18:40~ | オンライン受付開始 メール送付されたURL(Zoom IDとパスコード)に接続してください。 |
19:00 | 開会・ごあいさつ |
19:00~20:00 (60分) |
前半 |
20:00~20:05 (5分) | 休憩 |
20:05~21:00 (55分) |
後半 |
21:00 | 閉会 |